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とりあえず日々考えたことを書いていこうと思う。
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最近考えていたことをつらつら。「公権力」って、論理的に突き詰めていけば「軍事・警察力」と「司法権」に二極化するだろうな、ということ。「行政権」なんてものはその二極の間に位置づけられる曖昧模糊としたグレーゾーンに過ぎないんじゃないか、ということを漠然と考えていた。

公権力、というものを実体的にとらえるにせよ、関係的にとらえるにせよ、それは究極的に二つに分かれると思うんです。「物理的権力」と「観念的権力」。この二つは相補的であって、どちらも一方に依存している。物理的権力が軍事・警察権であって、観念的権力が司法権である、という具合。

「行政指導」という概念を考察すれば明らかなように、行政権は警察権・軍事権的な性質と、司法権的な性質を両方含有している。このことは、「行政権」という「固有の」権力がそもそも存在するのか、という問題を暗示しているようにも思う。

論理的には、公権力というものは二つしか存在し得ず、「行政権」というのは物理的権力と観念的権力の間に存在する「中間層」なのだろうな、と考えることもできるのではないか。行政権は主に富の再分配装置としての機能を担うが、物理的権力と観念的権力の二極だけではこれを実現できない。

軍事・警察的権力と司法的権力の妥協の中から行政権というものが生じてくる。その「妥協」がなぜ行われるのか、といえば、簡単に言うと、テクノロジーの不備によるのだろう、ということ。この妥協は、富の分配という「平等」の原理と「自由」の追求という近代社会の二大原理を両立させるための妥協だ。

司法権も警察・軍事権もそれ自体が「社会の理念」を担うわけではない。理念とは、論理的に帰結される必然的な「解」ではなく、「こうあるべき」という倫理観を含むもので、それは近代民主主義においては、議論と立法を経て形式的に担保されているものだ。それが「形式的担保」であるという点が重要。

大衆社会において「理念」というのは常に形式的に担保されるしかないと思うんです。その「形式」に対する信頼こそが「行政権」の拠り所だと私は思っている。ところで形式というのは、確固普遍のものではなく、テクノロジーの発展次第でそれに対する信頼の在り方も変わっていくわけです。

昔は公務員がやっていた仕事も、技術進歩とそれに密接に関係した人々の感性の在り方の変化によって、公務員じゃなくてもいいんじゃね?ってなるわけです。果たして、これを「新自由主義」という経済学者の一学派の価値観として矮小化して捉えるだけでよいのだろうか、ということです。

ピケティの著作には確かに新自由主義批判という要素もあるにはあるでしょうが、彼自身、意識的か無意識的かによらず、もっとスケールの大きな問題に触れてしまっているように思うのですよね。フランス革命的な原理の究極的な論理的帰結はフランス革命的な原理の否定であるという点だけではなくね。

話を元に戻すと、今現在起こっていることは、「行政権」という「公権力の中間層」の分解なのだろうな、ということ。これは「新自由主義」の流れとも重なるし、その大きな流れの中で「新自由主義」も位置づけられるのだろう、ということ。

「新自由主義」という原理が手ごわいのは、学派として有力であるというよりも、それがより大きな人類史の(思想的・社会的な)潮流の中で位置づけられるようなものだからこそ、それだけを取り出して批判する、ということが難しいからだとも思う。図らずもピケティはそれを指摘してしまうのではないか。

「公正」を担保するのなら司法権でよい。「強制」を担保するのなら軍事・警察権があればよい。「こうあるべき」という理念を実現させるにはその両方が必要であるがゆえに、公権力の中間層が必要とされる。民主主義社会の理念が形式に対する信頼にあるのなら、その形式に対する感受性の在処が問題。

いわゆるリベラルの保守批判も、社会民主主義者からの新自由主義批判もなんとなく弱くなってしまうのは、このもっと深い部分にある潮流を言語化することがまだ不十分だから、というのが大きいだろうな。だから今更ピケティを持ち出して「やっぱり再分配だ!」と言っても上滑りする。

今の左派(あえてサヨクとは言わない)が構図的には「保守」に近接してしまうのも、そういう深層部分での変化に適応できていないから、だよな。だからピケティを持ち出す連中には胡散臭さを感じるけど、ピケティ自身は割と面白い点を突いてるんじゃないか、というのが私の直観。



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