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とりあえず日々考えたことを書いていこうと思う。
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ある人がブログで書いていたことなのだけど、役所の仕事の仕方として、プロセスが重視される、というのがある。結果さえ出せればプロセスはどうでもいい、という人は役人には向かないのだと。そのために、時には迂遠とも思えるような手続きを踏んで事に当たることを厭わない精神が必要だとされる。




それで思ったのだけれど、「粛々と進める」という表現は官僚的で上から目線の感じがすると最近は言われるらしいが、この「粛々と」という表現は殊に役所の仕事のスタイルの形容としてしっくりとくるものがある(表現の適当さ・適切さはこの際置いておくとして)。これは要するに、何がどうあってもプロセスに従って事に当たっていきますよ、という意思表示なのだろう。そういう意味では「融通の利かなさ」の形容として典型的である。





一方で、何がどうあっても前に進んでいく、という不退の精神を示す表現としても読み取ることができ、そういう意味ではある種の「膂力」を形容してもいる。どんな天変地異に苛まれても「粛々と」手続きを進めていく、という意思表示は時に「信頼」の表現ともなる。





もっと別の側面では、粛々と物事を進めていくのだ、という表現は職員が自らを鼓舞する時にも使われたりする。粛々と進めていく、とは、「間違いのないように」しかし「滞らないように」という自己啓発であり注意喚起である。間違ってはいけないし、遅滞してもいけない。そういう啓発の表現として「粛々と」は使われる。





広辞苑を引くと、「粛々」とは、①慎む(謹む)さま②静かにひっそりとしたさま③引き締まったさま④厳かなさま、と四つの意義が出てくる。粛々と進める、とは、ことを荒げずに、着実に、襟を正して進める、というような意味だろう。ここには「音声」の表現はない。いづれの意味内容も「静けさ」を基調としたものである。そして「上から目線」という現代的感覚とは正反対の、謹厳実直を旨とする価値意識が①の「慎み(謹み)」として表れていることにも注目したい。粛々と、はそのような多面的な役人心性の表現として、独特なものがあると思った次第でした。

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