忍者ブログ
とりあえず日々考えたことを書いていこうと思う。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

募集株式の発行手続きで最低限注意すべきポイントをいくつか挙げてみます。基本事項ですが、割合、補正になりやすい部分です。





①総数引き受け契約を行わない場合、募集事項の決定と割当を正しい機関で行っているか。
②出資金の払い込み期日について。株主に対する通知や、募集事項の期間設定に従って入金されているか。
③現物出資の場合、会社法207条の諸規制に従っているか。
④増加する資本金の計算が正しく行われているか。





非公開会社で取締役会を設置していない会社の場合の募集事項の決定は原則株主総会で行い、割当も株主総会で行います。これについては定款で別段の定めを置くことができます(募集事項の決定は株主総会、割当は取締役へ委任、など)。




公開会社の場合では募集事項の決定も取締役会で行うのが原則です。ここまでは簡単。




で、誤解されがちなのが、非公開会社で取締役会設置会社の場合です。この場合は募集事項の決定を株主総会で行い、割当を取締役会で行うのが原則です(割当機関については、定款で別段の定めが可能ではある。)。




正しい機関で募集決議を行えたとして、次に問題となるのが払い込みの期日もしくは期間の設定です。




既存の株主に割当てを行う場合には払い込み期日、もしくは期間の初日の2週間前までに、株主に対して募集事項などの通知を行う必要があるので(会社法第202条4項)、少なくとも入金の2週間前までに募集事項の決定を済ませておく必要があります。また、公開会社において第三者割当をする場合においても、株主に対する2週間前の通知が必要になります(有価証券報告書を提出している会社については特例あり。同法第201条)。




非公開会社が第三者割当をする場合についても、払い込み期日もしくは期間の初日の「前日」までに割当ての通知をしなければならないと規定されているので、この場合でも募集事項決定→割当て→入金、まで最低2日は要することになります(募集事項の決定と通知に1日、その次の日に入金)。




なお、有利発行に該当する場合の承認決議や、種類株式を発行している場合の特則などの問題もありますが、ここでは割愛します。




③については、募集事項において現物出資の価額を500万以下に定めている場合は問題ありません。それ以上の価額の出資となると、税理士や会計士の価額証明が必要になります(同法207条9項4号)。その他、検査役の選任を要しない場合に該当する場合にはすべて、なんらかの補填作業を要することに注意。現物出資を、会社役員の会社に対する債権によってする方法(所謂、DESと呼ばれる方法)があり、このやり方をする場合には当該債権が十分に特定されている必要がある。また、当該債権は弁済期が当来しており、その価額が負債の帳簿価額以下でない場合には検査役の選任が必要となってしまう。




これに関連して、役員が会社に対する債権を受動債権として払込債務と相殺することは法令上できない(同法208条3項)。現物出資を評価し、あるいは金銭の払込みを定めた規定の脱法になるから、という考え方である。一方で、会社からの相殺、あるいは、株式引受人との相殺契約は禁止されていない、とする見解もあるが、若干の問題は残る(江頭憲次郎『株式会社法』pp.759-760.)。




さて、以上の手続きによって払い込みが完了した後、資本金の計算についてもよくある誤解がある。それは、募集株式の発行の手続きにおいては必ず資本金が増加する、というものである。これはバツで、実は増加しない場合もあるのである。




まず、計算についてだが、これは会社計算規則第14条に規定がある。これを式にすると以下のようになる。




「資本金等増加限度額 = {払込みまたは給付を受けた財産の価額 ー 株式の交付費用} × 株式発行割合 - 自己株式処分差益」




この式の中で、「株式の交付費用」とされる部分は当分の間「0」とする取り扱いとなっており、「株式発行割合」は更に、以下の式で示される。




「株式発行割合 = 当該募集に際して新規発行する株式の数 ÷ (当該募集に際して新規発行する株式の数 + 処分する自己株式の数)」




募集発行の際に新たに株式を発行する必要は必ずしもなく、払込みに対して自己株式を交付することも差し支えない(会社法第199条1項)。そして、すべてを自己株式の処分によって行えば、資本金増加限度額の式の右辺における「株式発行割合」がゼロとなるので、増加する資本金の額もゼロとなる(青山修『会社計算書面と商業登記』pp.95-98.など参照。)。




更に、すべての株式を新規に発行した場合でも、共通支配下の取引により財産の給付をした会社における当該財産の帳簿価額を引き継ぐべき場合などにおいて、簿価債務超過の事業を譲り受ける現物出資をした場合などは、その他利益剰余金の減少のみが生じる場合もある(相澤哲ら編『論点解説 新・会社法』p.209.)。




株式と資本金の間には基本的には一対一対応の関係が成り立つが、会社法においては、双方ともに独立の変数として観念されているので、注意が必要となるわけです。まあ、原則論としては一般的な観念が通用するのだけど、そうじゃない場合もあり得る、という話ですね。この話は設立時の資本金についても当てはまります。基本的には、払い込みをした金額のうち、2分の1以上が資本金になるわけですが、現物出資財産の評価次第では、資本金が「0円」になる場合もあります。この時でも、当然のことながら、株主は株式の発行を受けているので、発行済株式数はゼロにはならないわけです。




まあ、だいたいは常識的な観念が通用するのですが、現物出資の場合は何にせよ、注意が必要ということです。

PR

商事法務の最新刊で気になった記事。
弁護士の渡辺邦弘氏の「『取締役』の任期と『定時株主総会』の意義」という論考です。




定款において、事業年度が4月1日から翌年の3月31日、定時株主総会を6月に召集すると定めている会社。取締役の任期は選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに係る定時株主総会の終結の時までと定めている。




「設問1」
取締役・甲・乙・丙の3人がX年6月末日の定時総会で選任された。ところが、次の年の定時総会の時までに計算書類の作成が間に合わなかったので、X+1年6月に、取締役を選任することのみを目的事項とする株主総会を開いた。甲乙丙の任期満了日はいつか?




「設問2」
この会社がX+1年6月に株主総会を開かなかった場合、取締役・甲・乙・丙の任期はいつ満了するか?




ここで問題となっているのは、「定時株主総会の終結の時まで」の「定時株主総会」をどう捉えるか、という話である。簡単なように思えるが、その内実を突き詰めると案外あやふやになりがちである。この点、定時株主総会の定義に関して学説上はおよそ3種の見解が存在しており、




①所定の時期に開催される株主総会であるとする説(召集時期説)
②計算書類の承認を議題とする総会であるとする説(議題内容説)
③定款所定の時期であっても計算書類の承認を議題としない総会は定時総会ではなく、計算書類の承認を議題とする総会であっても定款所定の時期に遅れて開催された総会は定時総会ではない、とする説(折衷説)




などがある。



②の見解に立てば上記設問の株主総会は定時総会とならないので、役員の任期は切れないのではないか、……と考えるのはナンセンスであることにすぐ気がつくと思う。それが許されるならば取締役の都合でいくらでも任期を伸長できてしまうわけですからね。普通の定時総会なら計算書類の承認を議題とするのは当然なのだが、何らかの事情でそれができない場合も想定され得るし、会社法的には計算書類の承認を議題としない「定時総会」も許されるわけです(ちなみに旧商法では、臨時総会では計算書類の承認・剰余金の配当ができなかった。)。




むしろ、このような場合は、法令の趣旨及び定款の規定の趣旨から「実質的に」任期を判断すべきである、というのが本論の趣旨。当該定款の規定の趣旨は、取締役の任期との関係では、毎年6月に召集される株主総会の終結の時をもって任期を満了させると解するのが合理的であるから、仮に法文理的解釈により、一般的に「定時株主総会」の定義に合致していないとしても、上記事例において招集された株主総会で任期満了とするのが定款規定の趣旨に合致するのではないか、というのである。




もしここで任期が満了しないとすると、設問2のように、株主総会自体が招集されなかったとしたならば、計算書類の承認を議題とする株主総会の終結時まで任期が伸びることとなるようにも思えるが、そもそも計算書類の不備を理由として任期を伸長できるとするのは、不合理である。災害など、不可抗力的な事態を除いては、本来開かれるべきである時期が過ぎれば任期満了となると解するのが相当であり、実務的にもそのような扱いがなされているところである(松井信憲『商業登記ハンドブック(第3版)』p.408.)。




で、ここからが私見なのだけど、




そもそも取締役の任期は定款で定める他に、株主総会の決議によっても任期を短縮できる(会社法第332条1項)。で、あるから、仮に上記設問において取締役の任期が満了していないとしても、株主総会の決議で任期を限ってしまうことができるわけです。もちろん、取締役が不当に総会の招集を怠るようなことがあれば株主には裁判所の許可を得て招集権を発動する余地もあります(同法第287条4項)。で、あるから、上記設問の場合において取締役が「逃げ続ける」ことは現行制度上、難しいわけですね。




1年を超えない範囲で事業年度の末日の変更もできるので(会社計算規則第59条2項)、この場合は、事業年度を変更するタイミングで役員の改選をしないと任期の起算点の問題が生じ得る。例えば、上記設問において、平成28年10月の定時総会において、従来、7月末決算であるのを3月末決算に変更した場合、平成28年10月の定時総会で就任した取締役の任期は、平成29年3月末日を事業年度の末日とする事業年度に係る株主総会の終結時までになる(相澤哲ら編『論点解説 新・会社法』p.281.)。これは実質的には任期の短縮となろう。




また、定款の任期を途中で変更した場合はどうか。この場合も、反対の意思表示がない限り、現状の取締役の任期もそれに合わせて伸長される(昭30・9・12民事甲1886号回答、前掲書、pp.282~283を参照)。逆に任期を短縮した場合で、在任取締役の選任時から起算するとすでに任期満了している場合には、定款変更時が任期満了になる。過去に遡って退任するのではないのである(松井信憲『商業登記ハンドブック(第3版)』p.384.)。




このように、任期が株主総会の決議によっても変更できる取締役の場合、監査役などと違って、任期の起算点が問題となることが多い。議事録などを作成する場合には実際に任期が満了しているのかどうか、定款の規定と合わせて注意深く見ていく必要があるのである。この点について言えば、旧商法の規定のほうが任期に関して自由度が少ない分、起算が容易であり、会社法施行以後の方が、任期に関して自由度が高まった反面、起算が難しくなったという話はよく聞きますね。

 去年12月に最高裁が、マンション管理組合の理事長は理事会の多数決で解任できる、とする判断を示したわけだけど、これだけだとインパクトが伝わらないように感じた人も多いと思う。
 

 
 そもそも、管理組合について定める「建物の区分所有等に関する法律(以下、「区分所有法」)」では、理事の選任について以下のような条文になっています。




第四十九条 管理組合法人には、理事を置かなければならない。
2 理事が数人ある場合において、規約に別段の定めがないときは、管理組合法人の事務は、理事の過半数で決する。
3 理事は、管理組合法人を代表する。
4 理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する。
5 前項の規定は、規約若しくは集会の決議によつて、管理組合法人を代表すべき理事を定め、若しくは数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定め、又は規約の定めに基づき理事の互選によつて管理組合法人を代表すべき理事を定めることを妨げない。




 条文上では、理事は「各自代表」が原則であり、規約の定めや集会の決議、あるいは理事の互選によって理事の中から代表理事(理事長)を定めることもできる、という構成になっている。



 管理組合法人は登記簿上、代表権を有する者を登記しなければならないのだが、ここでいう「代表権を有する者」とは、「理事」のことである。もし理事の中から代表理事を定めていた時には「代表理事」が理事として登記されることになる。




 理事の選任について区分所有法で定めている事項はこれしかない。



 解任についての条文は以下の通り。




第二十五条 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
2 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。




 理事の解任は区分所有者の共同体である集会の決議で解任できるとするのが原則であり、理事の共同体である理事会において代表理事を解任できる、とはどこにも書いていない。仮にそのような定めが規約にあれば可能であると解せる余地もあるが、代表理事も理事である以上、区分所有者の集会でないと解任できないのではないか?というのが一つの考え方であった。




 このような解釈の不都合が生まれる根本には、国土交通省が定めているマンション管理規約の雛形に、理事長(代表理事)の解任についての定めが置かれていないことにもよる。標準雛形の第35条3項では以下のようになっている。




「理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。」




 理事長は決して「ワンマン」運営を期待されているわけではなく、標準管理規約においても、理事会の決議事項を尊重することが求められていることは以下の条項からも読み取れる。




「第38条 理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
一  規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
二  理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。
2  理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
3  理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
4  理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。」




 また、「規約及び使用細則等に定めのない事項については、区分所有法その他の法令の定めるところによる。」とあり、「規約、使用細則等又は法令のいずれにも定めのない事項については、総会(集会)の決議により定める。」とあることから、「理事長」の解任については集会によるべきである(「規約」にも「区分所有法」にも規定がないため)、と解することも一応はできそうである。




 区分所有法上の「集会」は、会社における「株主総会」と同様に万能機関とされていることから、理事の中の第一人者である理事長を解任する権限を持つことについては殆ど争いがないようである。つまり、集会を開いて理事長を解任できる状況にあれば、理事会で理事長を解任できるか否か?が争いになることはないわけです。問題は、大規模なマンションで区分所有者の集会の充足数を満たすことが難しい場合、あるいは、区分所有者間のコミュニケーションが上手くとれておらず、集会を開くことそのものが困難な状況にある場合、または、管理組合の内部で派閥抗争があり、修繕計画の見積もりや策定の際にデッドロックに嵌り、理事会の運営に支障をきたしているような場合。




 そしてこのような事態は、マンションの「老朽化」や「空室化」の進展、将来の「タワマン」のスラム化の危険性などとともに、のっぴきならぬものとなっていくことが予想されるために、社会問題として捉える必要もある。だからこそ、この判例が注目されたわけです。少し長くなりますが、判決文の重要箇所を引用してみます。




「本件規約は,理事長を区分所有法に定める管理者とし(43条2項),役員である理事に理事長等を含むものとした上(40条1項),役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならない(53条13号)とする一方で,理事は,組合員のうちから総会で選任し(40条2項),その互選により理事長を選任する(同条3項)としている。これは,理事長を理事が就く役職の1つと位置付けた上,総会で選任された理事に対し,原則として,その互選により理事長の職に就く者を定めることを委ねるものと解される。そうすると,このような定めは,理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き,別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが,本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきである。」




 先日、「カトリック教会の大司教は辞任できるか?」という問題を少し紹介してみましたが、そこでの「辞任(あるいは退任)」と「就任」の関係についての考察に通じてくるものがあるように思います。つまり、規約においては理事長の「選任」についてしか規定されていないけれども、代表権を有する者のポストが一つしかない状況においては、「A氏を選任する」という意思表示は翻って、「B氏を辞めさせる」という意思表示に他ならないのではないか?と推認できる場合がある、というわけです。これを判決文中の表現に置き換えれば、「このような定めは、理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが、本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致する」のではないか?というわけです。




 誰かを選任すること、と、解任すること、は全く別の話のように思えるけれども、場合によっては、コインの表裏の問題として捉えることができる。一方で、カトリック大司教や八幡神社の宮司の「意思」が問われなければならなかったように、ここでも、地位を退くことになる「理事長」の意思の探究、は求められて然るべきであるように思います。



 この問題はもちろん、宗教法人における所謂「充て職」の問題とは別なのだけれど、「本人の意思」の探究と「選任機関の規約の趣旨」の両面から、辞任、解任、退任、の是非について考えなければならない、という点では共通しているのです。

来年は明治維新150周年ということで、それ関係の本を読んでいる。各地で官公庁などがいろいろなイベントをやるそうで。それでもやはり改めて、井上先生の『王政復古』は何度も読み返したくなる。その味わい深い文体も含めて。


相方も、生まれも育ちも東京なので「帰省」という概念がない。私の方は少しだけ、ただ、帰省というほど大袈裟なものではなく、本当にただ帰るだけ、という感じ。帰る場所が「少しだけ遠い(片道40分くらい)」というこの距離感は割と心地よいのだと思う。そしてなんだかんだで今年もまだ東京にいる。一日だけ帰って氏神様にご挨拶に伺う予定。


私の祖父方の曾祖父も東京(あるいはお江戸)の向島界隈に住んでいた人で、だから同じ墨田区の両国に実家の実家がある妻とは江戸っ子の血筋を引いている点で実は地縁的な繋がりがある(これは付き合い始めてから知りました)。祖父は子供の頃過ごした帝都の様子をよく覚えていて、今の職場に近い靖国神社や九段下界隈の様子もよく知っている。「縁」というものは、だからあるのだろう。私が薩長の志士たちにあまり興味がないのもそのせいかもしれない(ちなみに佐幕派か討幕派(薩長)かという質問は歴史好きな人たちの間でよく交わされる質問類型の一つだが、この質問自体に何の興趣も抱かない。)。



思えばいろいろなイベントを詰め込んだ一年間だった。昇進し、結婚し、湾岸のタワマンを買い、来年はどうしようかという感じであるが、昇進したのでその分もっと頑張りたいと思う(抽象的)。まあ、できることをやるしかないので。来年は、新しい経済政策パッケージに盛り込まれた内容を実現するために努力していく所存です。

一般財団法人(公益財団法人も同様)においては、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事、が必置機関となります(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、「法」)第170条1項)。



会社に置き換えてみるとわかりやすいと思います。すなわち、「評議員会」は「株主総会」であり、「理事会」は「取締役会」なのです。取締役を選ぶのが株主総会であるように、理事を選ぶのは評議員会なのです(なんてわかりやすい)。



なので、理事会で「理事の解任」を決議することは法令上できない(法177条において準用する、同法第63条)。ただし、株主総会の招集権を取締役が持っているように(会社法第296条3項)、評議員会の招集権と議案提案権は理事が持っています(法第179条3項)。評議員会で議論される議案を理事会で決定し、評議員会に通知するという流れになるわけです。このニュースが伝えているのは、要するに「解任」の前段階の話なわけで、この時点では正式に解任されたわけではない。ちなみに理事を解任するためには条件が必要で、法176条では具体的にどんな場合に評議員会が理事を解任できるのかが列挙されています。



① 職務上の義務に反し、又は職務を怠ったとき。
② 心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき。



この2パターンです。
具体的な「職務」の内容は、定款で定められることもあるでしょうし、別の内部規約のようなもので定めている場合もあるでしょう。



さて、ここで気がつくことがあります。「株主総会」や一般社団法人の「社員総会」においては、役員の解任を単純多数決で行えるのに対して、一般財団法人の評議員会においては、役員の解任をする際に以上に列挙した「理由」が必要になるわけです。つまり、「正当な理由なく多数決のみによって解任」したとするならば、法176条の趣旨に反して無効と判断される可能性もあるわけです。



だからこそ、評議員への「根回し」が重要になってくるわけですね。

PREV ←  HOME  → NEXT
Copyright (C) 2025 雑記帳 All Rights Reserved.
Photo by 戦場に猫 Template Design by kaie
忍者ブログ [PR]